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橋本徹の推薦盤(2009年3月上旬〜2009年6月下旬)
2009年3月上旬

V.A. / JAZZ SUPREME ~ MODAL BLUE SKETCHES
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


モードから新主流派へ、という魅力的なストリームにおける既存のジャズ・ジャーナリズムの定説を、自分の感覚に基づいて未来に向けて更新していくこと。しかもクラブ・カルチャー、といったような視点にとらわれすぎることもなく。それは「ジャズ・シュプリーム」シリーズの選曲を始めてから日増しに僕の中で大きくなっていた関心事だが、このコンピレイションと5月リリースのEMI編『JAZZ SUPREME ~ MAIDEN BLUE VOYAGE』(仮題)によって、その願いは十分にかなえられようとしている。最近よく耳にするキャッチフレーズの反語を敢えて唱えるなら、“Jazz Not Jazzy”という精神のもとに。
オープニングに置いたデイヴ・ブルーベックは子供の頃から“TAKE FIVE”がCMソングとして流れていたが、高校生のときドナルド・フェイゲンの“NEW FRONTIER”の歌詞に登場したのを機に好感を抱くようになった。白人の“スクエア”なジャズ・ピアニストによる“UNSQUARE DANCE”は、クールで洒落た7拍子のハンドクラッピン・ジャズ。クラブ・ジャズ的偏見へのカウンター、というわけでもないが、僕は概してこういうイントロダクションを好む。
“TAKE FIVE”への返答、という趣きのデューク・ピアソンの“THE FAKIR”は、リリカルなピアニストとしても理知的な編曲家としてもブルーノートに数多くの名作を残した多才な彼が、66年のアトランティックで時代と化学反応を起こしたアラビックな5拍子のモーダル・ジャズ。スピリチュアルなソプラノ・サックスとフルートも異国の風景を垣間みせてくれる。
ジャマイカからイギリスに渡ったハロルド・マクネアの“THE HIPSTER”は、鮮烈なピアノと吹きすさぶフルートがその名の通りヒップな空気を振りまくワルツ・ジャズ。ロックやフォークやブルースと隣接する英国ジャズが打ち立てた金字塔で、クラブでのスリリングな熱気がよみがえる。
大学生のときはレニー・トリスターノ派の蒸留水のように透明な演奏を愛聴していたリー・コニッツは、クール・ジャズから旅立ち、イタリアへ渡った69年、モーダルな逸品“FIVE, FOUR AND THREE”を吹き込む。荘厳な気品をたたえた柔らかなワルツ・スウィングに、香り高いヨーロピアン・ジャズの精髄が息づいている。
ウェイン・ショーターの“MAHJONG”は、ジョン・コルトレーンに優るとも劣らない、深くエモーショナルなモーダル・ワルツで、個人的にはいちばん思い入れが強く、最もよく聴かせたいと考えていた。魔術のような吸引力を秘めたオリエンタル&メディテイティヴな名演で、ディスクガイド「Jazz Supreme」ではジャザノヴァのステファンが、コルトレーンの『至上の愛』を引き合いに出してトップにリストアップしていた。
デイヴ・グルーシンの穏やかで神秘的なワルツ“INEZ”は、知る人ぞ知る名品と言えるだろうか。凪の海をゆっくりと進むヨット、というような情景イメージ。僕はハービー・ハンコックの“処女航海”〜“ドルフィン・ダンス”を思い出す。
ファラオ・サンダースの盟友レオン・トーマスのたゆたうような歌声に慰撫される“THE CREATOR HAS A MASTER PLAN”(ルイ・アームストロングとのデュエットも傾聴すべき)は、スピリチュアルな優しさと慈愛に満ちた、心の鎮痛剤のようなピースフルな名唱。ノスタルジア77のベン・ラムディンが単行本「Jazz Supreme」で、「もう長い間、私の心の中の特別な場所に位置してきたものです」と感謝の意を表していたのが忘れられない。
ジョージィ・フェイムのブルー・フレイムスの一員でもあった英国のギタリスト、レイ・ラッセルの収録は、ある意味でサプライズ・セレクションかもしれない。僕の大好きなウェイン・ショーターの名曲“FOOTPRINTS”をカヴァーしていて、これが極めて60年代後半のイギリスらしいモーダルかつジャズ・ロックな好ヴァージョン。至高のオリジナルは、次作『MAIDEN BLUE VOYAGE』編の肝になるはずだ。
ロバート・アルトマン監督作のサントラ盤からのアーマッド・ジャマル“M*A*S*H THEME”は、最強のベース・ライン、神がかったフェンダー・ローズに魔法をかけられるような一曲。昔から特に好きなトラックだったが、INO hidefumiが「至上のジャズ」として大絶賛するのを聞いたときは、これ以上ない強い説得力を感じた。
続いて登場するのは、デューク・エリントンの最高の共振者としても偉大な(あの『MONEY JUNGLE』の荒ぶる幕開きに身震いしない人はいないはず)ジャズ・ベースの“怒れる”巨人、チャールズ・ミンガスの“BETTER GIT IT IN YOUR SOUL”。力強い爪弾き、鼓舞するようなメッセージ。嵐の中をそれでも舟は行く、そんなシーンと捉えていただきたい。僕はソニーでジャズ・コンピを作るならミンガスを、という気持ちの昂りを抑えることができなかった。自分の結婚式でこの曲をかけたというベン・ラムディンいわく、「カテゴライズできない音楽性を持つ、稀有なジャズ作曲家です。ブルージーでフォーキーでフリーでスウィンギンなのですが、その中で輝くのは彼の偉大なキャラクターであり、唯一無二のヴォイスです」。
マイルスに見出されたウエスト・コーストのモード・ジャズの旗手ポール・ホーンと、名ヴァイブ奏者エミル・リチャーズとの変拍子セッションからは、共に約12分の長尺となる“ABSTRACTION”と(その名も)“MIRAGE FOR MILES”のどちらを選ぶか、最後まで悩んだ。今回は結局、ゆるやかに波がうねる悠々たる大海原の風景描写が浮かぶ“ABSTRACTION”を選出。文字通り抽象的な短編フィルムのような印象ながら、優雅な気高さをたたえ3/4拍子と5/4拍子を行き来する、知的で叙情性に富んだ組曲風の秀作だ。
ビル・エヴァンスとの共演作としても名高いデイヴ・パイクの“WHY NOT”は、コルトレーン“IMPRESSIONS”のアダプテイションと言うべきモーダル・スウィング。イントロのウッド・ベースとリムショットを聴くだけで、クラブ・シーンに興味を持つようになった80年代末に戻ることができる。彼はもちろん、カル・ジェイダーやジョニー・ライトル、ロイ・エアーズやボビー・ハッチャーソンといった幾多のヴァイビストが、僕のクラブ・ジャズの扉を開けてくれたのだ。
そして追悼の意も込めてセレクトしたのが、フレディー・ハバードの“LITTLE SUNFLOWER”。ショーターやハンコックと共に、60年代半ばからはモード〜新主流派の中枢を担った愛すべき存在だが、これもまた颯爽と蒼い波間を行くような凛とした映像イメージに陶然となる。彼自身何度も再演している甘やかな憂いを帯びたスパニッシュ・モードのラテン・ジャズだが、スピリチュアルなレオン・トーマスのヨーデル・ヴォイスが琴線を震わせるルイス・ヘイズ版も、ぜひ『スカイ&グリフォン・フォー・アプレミディ・グラン・クリュ』で聴いてみてほしい。
最後は「usen for Cafe Apres-midi」のファンの方には絶大な人気を誇る、ルイス・ヴァン・ダイクの“WE'RE ALL ALONE”。まるで美しい“詩”と言ってしまいたくなる、オランダのピアノ・トリオによるボズ・スキャッグスの名曲のさざ波のようなワルツ演奏で、映画のエンドロールのように切ない余情を感じてもらえたら本望だ。水平線に夕陽が落ちていくような、小さな舟が港に戻るような光景を思い浮かべながら、もう一度アルバム・スリーヴを眺めていただけたら嬉しい。

JOYCE / VISIONS OF DAWN
JOYCE / JOYCE FOR CAFE APRES-MIDI
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


朝ふと目を覚まして春の訪れを感じるような穏やかに晴れた休日(そう、今日のような日です)、僕は毎年のようにジョイスの音楽を聴く。柔らかな陽射しに揺れるアコースティックな空気感。自然のリズムにも似た安らぎが息づく歌声。一陣の風に想いを託す清々しいギターと瑞々しいビート。それはゆっくりとそよ風を受けてまわる“かざぐるま”のような。
桜舞う季節に間に合わせるように、今年はとっておきのスペシャル・プレゼントが届いた。僕はもちろん、彼女のファンなら歓喜せずにいられないはずの、1976年パリ録音の未発表アルバム。ジョイスとかつての夫で音楽的パートナーでもあったマウリシオ・マエストロ、サラヴァやECMにも伝説的な吹き込みのあるパーカッション奏者ナナ・ヴァスコンセロスという、3人のブラジリアン・ミュージシャンによる親密なセッション。リリース元である英ファー・アウトは“The Original 'Lost' Brazilian Acid Folk Album”と謳っているが、確かに初期のミナスの匂いも漂わせるアシッド・フォーク的な雰囲気と、代表作『フェミニーナ』『水と光』の架け橋となるような素晴らしい内容だ。言葉のセンスにも優れているジョイスだが、僕はこのアルバム・タイトルにもひどく惹かれる。
そしてカチアの名作に準えるなら、これはもうひとつの『サウダージ・ドゥ・パリ』でもある。異国の地のサウダージ感覚を滲ませた、エストランジェイロ(異邦人)ならではの郷愁が、音楽にとても繊細な陰影を刻んでいる。オープニングを飾るのは、“ALDEIA DE OGUM”“FEMININA”と並んでクラブ・ジャズDJから熱烈に支持される“BANANA”の、芳しい原石のような光を放つ別ヴァージョン。続く“CLAREANA”のイントロの口笛で、僕は早くも涙が零れそうになった。やはり後に再演される、最愛の娘クララとアナに捧げられた優しい子守唄のような名曲だ。
彼女の十八番スキャットも冴えまくる“NACIONAL KID”は、本作の中でもとびきりのキラー・ナンバーと言っていいだろうか。誰もが微笑み、身体を揺らしてしまうはずのアコースティック・ブラジリアン・グルーヴ。さらに心を引き寄せられるのは、儚くミスティーで美しい、夢幻をさまようような組曲“MEMORIAS DO PORVIR (MEMORIES OF TOMORROW)”〜“VISOES DO AMANHECER (VISIONS OF DAWN)”。こういう幻想的・瞑想的な表情には、洗練された90年代以降のジョイスでは出会えない。僕には魔法がかった、宝石のようなトラックだ。
この作品が陽の目を見て、遠く東京まで届けられたことで、僕は20年前、ジョイスの音楽に初めてめぐり会ったときの感激を思い出した。1993年に『“フェミニーナ”そして“水と光”』のライナーに、気恥ずかしいほど一生懸命に彼女の音楽への想いを綴った、若き日の自分の青臭さも。その頃のフレッシュなときめきを忘れないように、と感謝の気持ちを込めて、僕なりに「これ以上のベスト盤はありえないはず」と彼女の名演をたっぷり詰め込んだ『ジョイス・フォー・カフェ・アプレミディ』を今CD棚から取り出して、不意に、すでに退職してしまったEMIの西元ディレクターの顔が浮かんだ。この盤も、マルコス・ヴァーリやパウリーニョ・ダ・ヴィオラのカフェ・アプレミディ盤も、メイズやボビー・ウーマックのフリー・ソウル盤も、『ジェット・ストリーム〜サマー・フライト』も『カフェ・アプレミディ・クリスマス』も、彼女が制作してくださったのだ。本当にありがとうございます。ご無沙汰していますが、元気でやっていらっしゃいますか?
追記:今月は新譜も、カフェ・アプレミディ中村が紹介するアグスティン・ペレイラ・ルセーナや、アプレミディ・セレソン武田が紹介するモッキーなど、素晴らしいアルバムばかりなので、音楽の春を満喫することができそうです。

2009年3月下旬

KERO ONE / EARLY BELIEVERS
KERO ONE / WINDMILLS OF THE SOUL
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


Here Comes The Springtime For Music!
「サバービア系ヒップホップの最高峰」(単行本「公園通りみぎひだり」参照)あるいは「メロウ・ビーツ本命盤」というように多くの支持を集めた2005年のファースト・アルバム『WINDMILLS OF THE SOUL』以来となる、待ち望んでいた人も多いはずのケロ・ワンの新作が到着。ジョー・フェンデル“NICE 'N EASY”のギター・アルペジオを使った“WINDMILLS INTRO”、アーマッド・ジャマル“DOLPHIN DANCE”のピアノ・ループが絶品のメロウネスを生んだ“IN ALL THE WRONG PLACES”、新たなB-Boyアンセムとなった“CHECK THE BLUE PRINTS”など、忘れがたいトラック満載だった前作のファンの期待に応えるジャジーでソウルフルでポップな充実の一枚。芽吹きの季節に相応しい爽やかなグッド・ヴァイブに満ちている。
とりわけベン・ウエストビーチの歌声と軽やかなジャズ・ギターをフィーチャーした“WHEN THE SUNSHINE COMES”は、この春を象徴するサニー・グルーヴとして、きっとFMなどでかかりまくるだろう。僕はケロ・ワン主宰プラグ・レーベル屈指の名曲、友人とすごす時間のかけがえのなさを歌ったアロー・ブラック&キング・モストによる“WITH MY FRIENDS”(スタンリー・カウエル“TRAVELIN' MAN”を巧みに再構築したハンドクラッピン・ソウルで、『MELLOW BEATS, RHYMES & VISIONS』に収録)を思い出さずにいられなかった。
北欧のスティーヴィー・ワンダー、と言われたりもするトゥオモが歌う、ハイ・サウンドのメロウ・ビーツ解釈という趣きのアル・グリーンのカヴァー“LOVE AND HAPPINESS”、軽快なボサ・ブレイク“BOSSA SOUNDCHECK”、痛快なオメガ・ワッツとのマイク・リレー“STAY ON THE GRIND”(ケロ・ワンはディスクガイド「エッセンシャル・メロウ・ビーツ」で、オメガ・ワッツの“THE FIND”を聴くとアル・グリーンを思い出すと記していた)あたりも話題を呼ぶに違いないが、個人的に特に気に入っているのは、70年代的な温かみのあるファンキー・インスト“A SONG FOR SABRINA”から、ベン・ウエストビーチが再び登場する僕には感動的なラヴ・ソング“GOODBYE FOREVER”までの流れ。中でもクラウン・シティー・ロッカーズのカット・オウアノの柔らかに揺れるフェンダー・ローズに溶けるような“I NEVER THOUGHT THAT WE”は、先週末の九州DJツアーでも熊本〜福岡と連日プレイした快適メロウ・グルーヴだ。
「エッセンシャル・メロウ・ビーツ」でケロ・ワンが、エディー・グリーンの弾くフェンダー・ローズにしびれるカタリストの“NEW-FOUND TRUTHS”を真っ先にリストアップして、「こういうフレッシュな音楽、土曜の朝、部屋を片づけてるときに聴くのに最適だ」とコメントしているのを読んだときも、この男はメロウでジャジーなテイストだけでなく、音楽の紹介の仕方までサバービアだな、と感じたが、その印象は今作でも裏切られることはなかった。このニュー・クラシックの誕生によって、ヒップホップの緑色革命がまた一歩、確かに前進したことを讃えたい。

P.E. HEWITT JAZZ ENSEMBLE / WINTER WINDS
FOUR-UM / JUST US
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


レア盤リイシュー・シリーズ「DEEP JAZZ REALITY」から届いた私家録音の名作2枚を紹介。まずはストーンズ・スロウ/ナウ・アゲインのイーゴン(マッドリブのマネジャー、と言った方が通りがいいかな)がディスクガイド「Jazz Supreme」でトップに挙げていた、60年代からベイエリアを拠点に活動するピアノ/ヴァイブ奏者P.E.ヒューウィット。オリジナル盤のプレス枚数はたった100枚、というのが僕が推薦する理由ではないが、耳にできてよかったと素直に思う。
イーゴンが大プッシュしていた熱いアルト・サックスにラテン・リズムの“BAON QUE BASH”、粋でヒップな高速ワルツ・ジャズ“OMA RAKAS”に食指を動かされるのは当然だが、僕としては、スピリチュアルな女声コーラスとエネルギッシュなアンサンブルが魂を震わせる魔術的な“MORE THAN ANYTHING”や、前作『SINCE WASHINGTON』からボーナス収録された“IT DOESN'T MATTER...YES IT DOES, ...BUT I CAN'T STOP”などにも強く惹かれる。このアナログに大枚はたいたDJ/コレクター諸氏はどんな曲を気に入っているのだろう。ヒップだったり、ラウンジーだったり、メディテイティヴだったり、多面性に富んだ他の演奏も決して聴き逃せない。
もう一枚はソフト・ロック・マニアの間でも密かに知られてきた男女混成ヴォーカル&インストゥルメンタル・グループのフォーラム。カヴァー曲のセレクションからも明らかなように、アメリカの地方都市のバーやライヴハウスで、ご機嫌な気分でパーティー・バンドの一夜のステージを楽しむような雰囲気が捨てがたい。
ここへ来て人気急上昇の要因はもちろん、オープニングを華やかに飾るバート・バカラック“WHAT THE WORLD NEEDS NOW”の爽快なジャジー・スウィング・カヴァー。ヴィンス・アンドリュースやラファエル・チコレルが引き合いに出された評を、何度か見かけたことがある。やはり彼ららしいレパートリーと思わずにいられないエルトン・ジョンの“YOUR SONG”もアレンジに冴えを見せ、ジョージ・ガーシュウィン作のスタンダード“SUMMERTIME”もクラブ映え抜群のフルート入りジャジー・スウィングでキラー・チューンに。アレサ・フランクリンの“DAY DREAMING”、アシュフォード&シンプソンが書いたマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルやダイアナ・ロスで名高い“AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH”といったソウル・ミュージックからの選曲も僕好みだ。ちなみにこちらはオリジナル・プレス500枚、とのこと。アルバムの真価とはさして関係ありませんが、付け加えておきます。

2009年4月上旬

HENRI TAXIER / AMIR
DON CHERRY - LATIF KHAN / DON CHERRY - LATIF KHAN
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


遂にアンリ・タクシア入荷! この半年ほどの間、これほど欲しかったアルバムはない。やっと手に入れた感激もあって、マイ・ベッドルームのCDプレイヤーでかかりっぱなしになっている。
昨年9月、ディスクガイド「Jazz Supreme」を作っていたときに、ジャザノヴァのアレックスが“HOMME ROUGE”という曲を自らのPCで聴かせてくれた印象が忘れられない。音楽を聴いて震えが来たのは久しぶりだった。彼に敬意を表して、その紹介文をここに掲げよう。
「フランスのベース・プレイヤーによる隠れた名作。ヨーロピアンとアラビックを行き来する音階やヴォイシングのレイヤーが、ジョン・ルシアンにも通じるフィーリングを醸し出し、コズミック&ヒッピーなフライング・アウェイ感覚に誘われるビューティフルな作品。ちょっと変わったモダンなアレンジはクラブ・ミュージックとしても通用するほどですが、一枚通してメディテイション〜アンビエント・アルバムとしても素晴らしいです」
まだまだ知らない名盤ってあるもんですね。コントラバスなどの弦楽器にフルートとパーカッション。幽玄のスキャット・ヴォイスに導かれる諸行無常の響き。僕がひとことで表すなら“ミナス・ミーツ・スピリチュアル・ジャズ”という趣きのメディテイティヴな一枚。1975〜76年パリ録音で、テイストは違うけれど、僕はブライアン・イーノ『THURSDAY AFTERNOON』に匹敵するアンビエント作品として重宝しています。
瞑想的なアンリ・タクシアに対し、もう少し覚醒的な気分のときによく流しているのが、ドン・チェリーとインドのパーカッション奏者ラティフ・カーンの共演作。1978年にパリで制作され、ワールド・ミュージックの立役者として知られるマルタン・メソニエが80年代前半に世に送り出したアルバムだが、このたびヘヴンリー・スウィートネス(ダグ・ハモンド『A REAL DEAL』やアン・ヴァーツ『INFINI』などをリリースしているパリの良心的レーベルです)から待望のCD化が実現した。旧知の仲であるオーネット・コールマン“UNTITLED”に始まり、スピリチュアルなワードレス・ヴォイシングがジョン・コルトレーン“NAIMA”を彷佛とさせるような“AIR MAIL”、この世のものとは思えないほど(ユートピアの音楽、とさえ思える)美しくエキゾティックでヘヴンリーな調べを奏でる“ONE DANCE”と、愛と平和を座右の銘としたドン・チェリーらしい自作曲が連なる「MUSIC SIDE」。音に身を委ねるだけで時空を越えた境地に誘われる、ラティフ・カーンの美しくもトライバルなタブラが輪廻転生の響きのように、インドの伝統音楽と現代アンビエントの蜜月を示す「SANGAM SIDE」。僕は聴いているとジョー・ハリオット/ジョン・メイヤー/アマンシオ・デシルヴァらによる60年代英国産ラーガ・ジャズの名品群に思いを馳せたくなるし、ドン・チェリーの妻で北欧ラップランド人のモキ・チェリーによるカヴァー・アートにも不思議な魅力を感じてしまう一枚です。
追記:余談というか自画自賛になりますが、中村智昭のカフェ・アプレミディ卒業記念に、僕はドン・チェリーの『ORGANIC MUSIC SOCIETY』を贈りました。この間たまたま近所の「YELLOW POP」で、美麗オリジナル盤を驚くほど安くゲットしたのです。“UTOPIA & VISIONS”“THE CREATOR HAS A MASTER PLAN (PEACE)”といった心洗われる不朽の名曲を収録していることもありますが、橋本徹とカルロス・ニーニョとCALMを結ぶ三角形の中心に位置するようなレコードで、彼へのはなむけに相応しいプレゼントだと思いません?

JOE BARBIERI / MAISON MARAVILHA
CORDES SENSIBLES / CONSTELLATION
DADAMNPHREAKNOIZPHUNK / TAKE OFF DA HOT SWEATER
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


「もうすぐ人間は恐竜みたいに緩やかに滅んでいくね(キッパリ)。でも、そういう時にこそ、良い音楽が生まれるんじゃないの!? まともな人は、よりちゃんとしたものを作るだろうし」(スチャダラパー)
最近“NO MUSIC, NO LIFE”のポスターを見かけるたびに、この言葉に深くうなずいてしまうが、2月下旬のこのコーナーで熱烈に推薦したジョー・バルビエリの新作は、そんな警句を実感させてくれる一枚だ。4/22にいよいよ日本盤がリリースされるが、僕がステッカーに寄せたコメントはこんな感じになった──「本当に溜め息が出るほど素晴らしい、旅や映画のように心に灯をともしてくれる音楽。遠く過ぎ去った夏を思うような音楽。何かに疲れたとき、何かに救われたとき、一生聴き続けるだろう。フェリーニにオマージュを捧げたカエターノ・ヴェローゾや、“ESTATE”(夏)を歌ったジョアン・ジルベルトへの、イタリアからのまろやかな返答。美しい」。
誕生日プレゼントに先日、高校の同級生からクラシック作曲家・芥川也寸志の「音楽を愛する人に」という古本をもらい(昭和42年の筑摩書房らしい、と言いたくなる装幀が素敵です)、その直球なタイトルがここ数日、頭から離れない。音楽を愛する人、というフレーズから僕は何となく小西康陽さんのことを思い浮かべたが(レコードを愛する人、と言うべきだろうか)、先週末タワーレコード渋谷店に行くと、僕も愛聴していたコルド・サンシブル(フランス語で繊細な弦、という意味です)の『CONSTELLATION』に、“小西康陽氏・絶賛!”というキャプションが付いていた。確かに小西さんも絶賛するだろうフレンチ・ジャズ・コーラスの2007年の名作で、ジャケットのシルエットからしてゴダールの「男性・女性」で可憐なシャンタル・ゴヤがスタジオで歌うシーンを思い出す、60年代フランスのヌーヴェル・ヴァーグ・フィルムに合わせたくなるような音なのだ。
まずいきなり、ウェイン・ショーター“SPEAK NO EVIL”のヴォーカリーズ版で始まるのが嬉しい。僕はソロで聴かせるジョン・コルトレーン“NAIMA”のカヴァーをよく選曲しているが、基本的に洒落たスキャットを交えた女声デュオで、ソフィスティケイションとアンニュイ具合とジャズの香りのバランスが絶妙。ホレス・シルヴァーのラテン・ジャズ“NICA'S DREAM”を取り上げても最高にクールでチャーミングだし、ジョビンのナンバーも“白と黒のポートレイト”を始めフランス人好みの3曲、と言うことない。少しくぐもった空の日に息をひそめて聴きたい素晴らしい作品集で、正直なところ僕はスウィングル・シンガーズより断然、その儚げな空気感に惹かれます(ちなみに彼女たちは2003年の『INVITATION』にも、“ALONG COME BETTY”などとびきりお洒落な曲を吹き込んでいます)。
そして僕より歳下ながら、もうひとりの音楽を愛する人、Nujabesが絶賛、とやはりタワーレコード渋谷店のキャプションに書かれていたのが、ようやく日本でCD化された僕の近年のヘヴィー・ローテイション盤、ハードフロアの変名プロジェクトによる『TAKE OFF DA HOT SWEATER』。ハードフロアと言えばアシッド・テクノのパイオニアというイメージが強いかもしれないが、これは稀に見るメロウ・ブレイクビーツ/メロディアス・ダウンビートの奇跡の傑作。ダビー&ジャジーな音像に絶品のリズム・ワークが光る、まるでよくできたミックスCDのようなアルバムだ。僕も“SOCKS AND STRINGS AND SP12”“SILICON LOAFER”と共に白盤12インチでたびたびDJプレイしていた“CROCODILELEATHER T.I.E.”は、NujabesやDJ KENSEIのお気に入りでもあったと今回知ったが、何と言ってもサバービア・マニアな貴方は、甘美なピアノとヴァイブをフィーチャーしたロジャー・ニコルス作“WE'VE ONLY JUST BEGUN”の珠玉のアダプテイション“I LOST MY SUITCASE IN SAN MARINO”で即死でしょう。日本盤ボーナス・トラックとして、気鋭Olive Oilによる、その曲のプレフューズ73を思わせるエクスペリメンタルなリミックスも収録されています。
追記:6月リリース予定の日本のトラック・メイカーによるメロウ・ビーツ・コンピ『MELLOW BEATS, FRIENDS & LOVERS』のリード曲として、Nujabesが現在制作中のシャーデー“KISS OF LIFE”のカヴァーは、フィーチャリング・ヴォーカルがジョヴァンカ&ベニー・シングス(!)に決まりました。続報・詳報はまた改めて!

2009年4月下旬

RENATO MOTHA & PATRICIA LOBATO / DOIS EM PESSOA
RENATO MOTHA & PATRICIA LOBATO / ANTIGAS CANTIGAS
RENATO MOTHA & PATRICIA LOBATO / PLANOS
RENATO MOTHA & PATRICIA LOBATO / SHABDS PARA A PAZ
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


カルロス・ニーニョ率いるビルド・アン・アークの新曲“THIS PRAYER FOR THE WHOLE WORLD”があまりにも素晴らしすぎて、心浮き立っている今日この頃。本当に心洗われるグルーヴィーでピースフルな一曲で、1日に10回聴いてます。タワーレコードとアプレミディで6/10に先行発売されるコンピ『MELLOW BEATS, PEACE & DREAMS』の1曲目にエクスクルーシヴ収録できればと思っていますので、お楽しみに!
さて最近は、アプレミディ・グラン・クリュ、鎌倉・光明寺、青山・CAYと3か所でそれぞれ趣向を変えたライヴを観ることができた、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバートにも改めて心酔している。彼らを見ていると、ビルド・アン・アーク同様、まともな人間が今の時代に音楽と誠実に向き合う姿を感じることができる。そう、一切の不純物のない音楽。
ボサノヴァ以来の“詩的体験”と謳われた現代版ミナス・サウンド。たおやかな表情と清らかな美声。ポルトガル語圏の偉大な詩人フェルナンド・ペソアの詩をオリジナルのメロディーにのせた『DOIS EM PESSOA』を聴いていると、穏やかな午後の時間が流れていく。それは心の鎮静剤のような響き。ヘナート・モタが店のインテリアをしきりに褒めてくれたのが嬉しかったグラン・クリュでのウェルカム・パーティーで、マイクを通さずに歌ってくれた“DEPOIS DE AMANHA”は忘れられない思い出になるだろう。音楽の奇跡に震えるような、親密な瞬間。その口笛の美しさは言うまでもなく、吉本宏くんも指摘しているように、ヘナート(とパトリシア)の声はノンPAでさらに透き通り、崇高な輝きを増すのだ。
『ANTIGAS CANTIGAS』に収録されていたような、古いブラジルのワルツ、クラシックや教会音楽の影響色濃い曲、ヨーロッパ文化をルーツとするブラジルの伝承歌には、無性にノスタルジーで胸を締めつけられた。彼らの珠玉のオリジナル・ソング集『PLANOS』に収められた名曲に倣って、その心象を表すなら“CHEGA DE MELANCHOLIA”。中島ノブユキのピアノも室内楽的な佇まいによく合っていたCAYでの“プレンダ・ミーニャ”には、カエターノ・ヴェローゾに優るとも劣らない優美な感激がこみ上げた。マイルス・デイヴィス版を意識しているはずの、間奏のトランペットの音色を模したヴォーカライズも素晴らしかった。
ヨーガの中で瞑想中に繰り返し唱える聖句“マントラ”に曲をつけた『SHABDS PARA A PAZ』の世界を具現化したような光明寺での演奏は、今の僕が最も必要としている、心の平安をもたらしてくれる音楽だった。ミナスでラーガでスピリチュアルな、前回紹介したアンリ・タクシアやドン・チェリー&ラティフ・カーン、あるいはECMのコドナやザキール・フセインにも通じるメディテイティヴな雰囲気。でもそれだけじゃない、ブラジル音楽とヨーガの美しき出会いが生んだ“平和のための揺らぎ”だ。昨晩どうしてもCDが見つからなかったので、また一枚買ってしまった。それほど、いつも自分のそばに置いておきたい音楽だ。僕は今、ヘナート・モタを心から尊敬している。私淑したいと思っている。彼らは理想の夫婦、とさえ思う。

V.A. / NICOLA CONTE PRESENTS “SPIRITUAL SWINGERS” 
ANITA O'DAY / COOL HEAT
AHMAD JAMAL / JAMAL AT THE PENTHOUSE
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


ここ数年ディープ&モーダルへの傾倒を強めていたニコラ・コンテが、自らのパブリック・イメージを塗り替えるほどアフロセントリックで、本人の作品以上に“スピリチュアル”という感性への共鳴が伝わる素晴らしいセレクションのCDを発表した。日本のジャズ・マーケットでは、こうしたテイストはベストセラー・コンピとして成立しづらいことは百も承知だが、僕はこの方向性を強く支持する。モーダル・ジャズが内包するアフリカや東洋の民俗音楽(彼自身の言葉を借りるなら“フラメンコからバルカン・サウンドまで”)と通底する神秘的なスピリチュアリティー、ジョン・コルトレーンやファラオ・サンダースが求道的に音楽表現を掘り下げていったその背景を見事に浮かび上がらせている。
オープニングの流れから象徴的だ。まずディー・ディー・ブリッジウォーターの名唱も忘れがたい“AFRO-BLUE”を、マックス・ローチ夫人だったアビー・リンカーンが歌う。続いて、『JAZZ SUPREME ~ MODAL WALTZ-A-NOVA』では幽玄美の極み“PAVANNE”を冒頭に置いたジェイムス・クレイ×ヴィクター・フェルドマンのもうひとつのオリエンタルな名品“NEW DELHI”。そして圧巻の長尺ライヴ版も忘れられないワルツ・ジャズ、アーマッド・ジャマル×リチャード・エヴァンスの“BOGOTA”へ。さらにハープとフルートがエキゾティックに絡み合うドロシー・アシュビー×フランク・ウェスの“TABOO”、ロレツ・アレクサンドリアが後にも名演を吹き込むアフロ・スピリチュアルの極北と言える霊的なムードをたたえた “BALTIIMORE ORIOLE”が連なり、ユセフ・ラティーフ“JUNGLE FANTASY”のようにラテン音楽の古典がアフリカ的なモティーフでプリミティヴに演奏される曲も目につく。
ジャズとソフト・ロックが交差する意欲的なコーラス・プロジェクト、サウンド・オブ・フィーリングによるフラワーな“MY FAVORITE THINGS”(アレンジはオリヴァー・ネルソン)から、ロイ・ヘインズ×フランク・ストロジャーによる両者らしいフルート入りモーダル・ジャズ・ビーツ“MODETTE”への展開も鮮やか。音源のレアリティーに気を配った様子がうかがえる後半は、スイスのジョルジュ・グルンツによるスパニッシュ・モードの“SPANISH CASTLES”、ドイツのクラウス・ヴァイスによるバルカン民謡“SUBO”あたりが、真のヨーロピアン・ジャズ好きなら嬉しいはずだ。ラストのパット・ボウイ“FEELING GOOD”など、ブルージーなヴォーカル曲の配し方もコンピレイション・コンセプトに相応しい。
ニコラ・コンテとは真逆のヴェクトルだが、「小西康陽。200CDセレクション。」と題されたリイシュー・シリーズからも2枚紹介しよう。選盤の基準は“最も初期サバービア的な”アルバム。アーティスト・イメージに別の角度から光を当てるような、新たな価値観を提示するような、カウンター・カウンター・カルチャーとでも言うべき精神が息づくセレクト。どちらも50年代の古き佳きアメリカの香りを残すジャケット写真が素敵な“スクエアなジャズ”だ。
アニタ・オデイの『COOL HEAT』は、今回の再発ラインナップを知った一昨日の夜、さっそくターンテーブルにのせてみた。実に20年ぶりという感じだろうか。きれいにヴィニール・コーティングされたレコードで、僕の前は几帳面なジャズ・ヴォーカルのコレクターが所有していたのだろう。もちろん美しい色合いのスリーヴに惹かれて購入したのだった。クールな唱法のハスキーな女声とジミー・ジュフリーによる洒落たアレンジメント。僕にはスキャットで始まる“GONE WITH THE WIND”が最高、という印象が強かったが、改めて聴くと、スキャットと編曲で颯爽とウエスト・コースト・ジャズの軽やかなスウィングを体現したような“HERSHEY BAR”や、メル・トーメ×マーティー・ぺイチを思い出す快速な“THE WAY YOU LOOK TONIGHT”も好ましい。
アーマッド・ジャマル『JAMAL AT THE PENTHOUSE』の復刻は、彼のピアノの熱心なファンでアーゴ・レーベルの作品もコレクションする僕でさえ驚かされた。というのも、これはいわゆる“ウィズ・ストリングス”、あの究極の名盤『THE AWAKENING』を最高峰とするクラブ・ジャズ〜ヒップホップ・ジェネレイションの物差しからは距離を置く、瀟洒でラウンジーで小粋な一枚だからだ。もちろん彼ならではのセンスとインテリジェンス──自在に呼吸するようなタッチや間合いの美学は味わえるが、僕らが大好きなヒップでクールでルーツ・オブ・メロウ・ビーツなジャマルとは一線を画すソフィスティケイテッドぶり。彼をこよなく愛したマイルス・デイヴィスも取り上げた“AHMAD'S BLUES”に始まるB面を僕は好んで聴いた覚えがあるが、小西さんはどんなところを気に入っているのだろう。いつも豊かなイメージを与えてくれる小西さん自身の言葉による“OFF THE RECORD”な推薦文を読んでみたかったが、アニタ・オデイ×ジミー・ジュフリーについてと同じく、残念ながらライナーには記されていない。もうすぐ「マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽。」という本(凄いタイトルですね)が出るそうだから、早く読める日が来るのが待ち遠しい。

2009年5月上旬

V.A. / JAZZ SUPREME ~ MAIDEN BLUE VOYAGE
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


とにかく1曲目からしびれます。儚い透明感を宿した繊細なピアノとギター、切々とした哀愁を漂わせるヴォーカル、震える心の鼓動のようなリズム。ビートルズとミナス・サウンドの美しき出会い、ナンド・ローリアの“IF I FELL”のイントロが流れてくると、僕は“地球の涙”(Tears Of Our Earth)という言葉を想う。ジョー・クラウゼルのセイクリッド・リズムからリリースされたメンタル・レメディー『THE SUN・THE MOON・OUR SOULS』にあったフレーズ。このコンピレイションは、選曲をしていた頃に深く心を動かされたそのレコードへの、僕なりの返答であり、共感と愛情の表現だ。言葉に尽くせぬほど胸を打つビートルズ・カヴァーで船出する、美しく荘厳な音楽の航海。
続くロバート・グラスパーの“J-DILLALUDE”は、若くして世を去ったJ・ディラへの感涙のオマージュ。最近聴いたカルロス・ニーニョによる室内楽スタイルのトリビュート『SUITE FOR MA DUKES』にもこみ上げるものがあったが、Nujabesも熱烈に愛する、スラム・ヴィレッジ“FALL IN LOVE”の旋律が泣ける。ヒップホップ世代ならではのブレイクビーツ的なリズム感覚やコラージュ・センスも備えるグラスパーだが、実は新主流派的でもある真のジャズ・ピアニスト。
ロイ・エアーズの“RICARDO'S DILEMMA”は、1963年の初リーダー作からのウエスト・コースト・ヴァイブなモーダル・ワルツ。ここ数年は彼の作品中このアルバムを最もよく聴く。名コンビと言っていいピアノのジャック・ウィルソンとの共演、カーティス・エイミーのソプラノ・サックスは往時のジョン・コルトレーンを彷佛とさせる。
崇高で力強く、かつ瞑想的なブロウに聴き惚れるウェイン・ショーターの“FOOTPRINTS”は、新主流派の旗手が打ち立てた金字塔。マイルス・デイヴィス版はもちろん、ロニー・リストン・スミスを始めカヴァーにも、それなりの覚悟が感じられる名演が多い。“MAHJONG”を収めた『JUJU』と並んで最も聴く1966年のアルバム『ADAM'S APPLE』から。
優美なアンサンブルがクールで静謐な凪の海を描くようなハービー・ハンコック“SPEAK LIKE A CHILD”は、掛け値なしに永遠のフェイヴァリット。ディスクガイド「Jazz Supreme」でスリープ・ウォーカーの吉澤はじめ氏いわく「変則3管+ピアノ・トリオの水彩画のような瑞々しいサウンドが、まさに絶妙を極める」、Nujabesいわく「ジョアン・ジルベルトの作品にも通じるコード感と、無音よりも“Calm”とも思える心地よさ。何度聴いても飽きない、手が込んでいながら見事にソフィスティケイトされた進行」。全くの同感だ。
哀悼の意を込めてコンピレイションの中心に据えたのが、フレディー・ハバードの“BLUE SPIRITS”。ブルーノート屈指の凛とした気高さをたたえたワルツタイムのモーダル・ジャズだ。颯爽と蒼い波間を行くドルフィン・ダンスのようにたおやかでしなやかな憂愁と悠久の調べ。マッコイ・タイナーのピアノ、ジェイムス・スポールディングのフルートも素晴らしい。
続いてデューク・エリントン+チャールズ・ミンガス+マックス・ローチ。ピアノ・トリオの極北。単行本「Jazz Supreme」で菊地成孔氏は、「癇癪という哲学と暴力という病理の完璧な音化。“怒り”を表現の原料とする全ての芸術(絵画や犯罪も含む)の中でも熱量、エレガンス、野蛮さに於いて最高傑作でしょう」と表していた。ここに収録した“FLEURETTE AFRICAINE”は、そんな野蛮なエレガンスが生んだ奇跡のような名品。神秘の音霊が揺らめくようで、僕にとって彼らのベスト作であると同時に、ノスタルジア77のベン・ラムディンも「Jazz Supreme」で特別に絶賛していた。この曲のカヴァーを含む中島ノブユキの名盤『エテパルマ〜夏の印象』を愛する貴方も、絶対に聴いてください。
やはり魔法がかったような神秘的なフルートに導かれるデューク・ピアソン“THE MOANA SURF”は、クールなリリシズムに貫かれるモーダル&スピリチュアルなラテン・ジャズ。ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが幻想的な彩りを与え、パーカッション群が芳醇なリズムを奏でる隠れた逸品で、ライナーのアーティスト解説で小川充氏が「モーダル・ジャズとラテン・ジャズが最高の形で出会った」と書いてくれたのが嬉しい。
黒人らしいグルーヴ感や精神性とクールな理論派的側面が同居するボビー・ハッチャーソンは、ショーターやハンコックと共に新主流派をリードしたヴァイビスト。“LITTLE B'S POEM”は天国の子守歌のような美しいモーダル・ワルツだが、後に歌詞がつけられ、『JAZZ SUPREME ~ SPIRITUAL WALTZ-A-NOVA』に収めたディー・ディー・ブリッジウォーターや、『FREE SOUL. the classic of BLACK JAZZ』に収めたダグ&ジーン・カーンによる名唱で、スピリチュアル・ジャズの聖典としても名を残している。
ボビー・ハッチャーソンもそうだが、ホレス・シルヴァーはコンピにエントリーしたい曲が多すぎて、正直セレクションの際に結構悩んだ。結局『BLUE NOTE FOR APRES-MIDI GRAND CRU』と被るのを承知で選んだのは、男性スピリチュアル・ジャズ・ヴォーカルの顔アンディー・ベイが歌う“WON'T YOU OPEN UP YOUR SENSES”。カーティス・メイフィールドなどニュー・ソウルとも共振する哀切のワルツで、かつて4ヒーローがカヴァーしていた。“LES FLUER”“NAIMA”“SUPERWOMAN”といった例を挙げるまでもなく、彼らがリメイクする曲はどれも間違いがない。
そしてグラント・グリーンの“MY FAVORITE THINGS”。コルトレーン・カルテットの至上の名演の素晴らしさを踏襲しながら、よりグルーヴ感を増した好ヴァージョン。マッコイ・タイナーとエルヴィン・ジョーンズも“らしさ”全開。この曲については、8月リリース予定の「Chill-Out Mellow Ensemble」ジャズ編プロジェクトのために今、神田朋樹くんが作っているトラックがあまりに最高なことも付け加えておこう。
ロイ・ヘインズ×フランク・ストロジャーによるバート・バカラックの名ワルツ“WIVES AND LOVERS”のカヴァーは、この両者ならではのフルート入りモーダル・ジャズ・ビーツ。いかにも60年代パシフィック・ジャズという風情の軽快な躍動感が好ましい。
一方で、同時期同レーベルながら、レス・マッキャンの“DAMASCUS”は荘重かつダイナミックなオリエンタル・ジャズの傑作だ。若きジャズ・クルセイダーズと組んだ1963年の『JAZZ WALTZ』からのアラビックな至高のワルツ・グルーヴ。僕とモーダル・ジャズの趣味が極めて近い(というか同じ)アズ・ワンことカーク・ディジョージオがフェイヴァリットに挙げているのを知って、ずっと聴き直そうと思っていたのだが、長らく我が家のレコード部屋では行方不明だったので、個人的には嬉しい収録。
ラストは他社からのライセンスでわざわざ許諾をいただいたマックス・ローチの“EQUIPOISE”。ディスクガイド「ムジカノッサ・ジャズ・ラウンジ」でも“スパルタカス”に続けてまるごと一章を捧げられていた、スタンリー・カウエルが書いた永遠不朽の名曲。ビルド・アン・アークからジャック・ディジョネットまで、様々なカヴァーが忘れられないが、これはゲイリー・バーツとチャールズ・トリヴァーの2管にカウエルもピアノ参加した、プレ・ストラタ・イーストとでも言うべきスピリチュアル・ジャズの源流となる1968年アトランティック・セッション。どこまでも崇高で優しく、メロウで美しい。「知的でかつワイルド、今の時代に欠けているものがここにはあると思います」(by松浦俊夫)なマックス・ローチは、「Jazz Supreme」にとって要人・恩人。彼の死も改めて追悼します。

LLOYD MILLER / ORIENTAL JAZZ + 5
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


心安らぐオリエンタルな音色・旋律とモダン・ジャズ・ピアノのミラクルな融合。その最高峰にそびえ立つ1968年録音の奇跡の名作が、ロイド・ミラー本人提供による自主制作盤をもとに、ボーナス5曲を加え限定プレスで復刻CD化。最初にタワーレコード渋谷店で見かけたときは目を疑ったが、その内容の素晴らしさを実際に耳にした感激は、これまでこのコーナーで紹介してきたどのアルバムにも優るほどだ。
キンドレッド・スピリッツの『FREE SPIRITS VOL.1』、ジャズマンの『SPIRITUAL JAZZ』といったコンピで僕には馴染み深かった“GOL-E GANDOM”が、何と3ヴァージョンも収められ、魔法のような輝きと吸引力を放っている。イランのトラディショナルなメロディーを、民俗楽器サントゥールの印象的な響きを中心にアレンジした傑作中の傑作で、どの吹き込みも甲乙つけがたいが、僕は今、高速ワルツのオリジナルにも増して、たおやかな幽玄美をたたえた72年のテイクに心惹かれている。僕には瞑想と覚醒のモザイクであり、美しい恍惚の音楽なのだ。
そしてその曲以上に、僕にとって特別な存在になったのが、ロイド・ミラーの自作曲“NJONJA MIRAH & YONA”。ラヴェルやサティをも思わせるような、神秘とセンティメントの宝石。とりわけセカンド・ヴァージョンは、聴いていて後半、不意に涙を誘われた。これもまた“地球の涙”(Tears Of Our Earth)なのか。鎮魂歌(レクイエム)という言葉が頭に浮かぶ。
他にも、やはりクラシカルな“NATANIE”や、夢幻の境地を彷徨うような“IMPRESSION OF BHAIRAVA RAGA”など、このアルバムを聴いている間は、禅のように自分の中に入り込み、過去と現在、太古の記憶と未来の観念を行き来することができる。CD化にあたって、オリジナル・レコードを適価で譲ってもいい、という方がいましたら、ぜひご連絡をお待ちしております。

2009年5月下旬  

V.A. / MELLOW BEATS, SUNSHINE & TWILIGHT
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


アプレミディ・セレソン武田が紹介してくれている『MELLOW BEATS, FRIENDS & LOVERS』がスペシャル企画だとすれば、こちらは奇しくも同日発売となったレギュラー盤の最新作。ジャズとヒップホップの蜜月が生んだ21世紀の至上のメロウ・グルーヴ。GW直前に、タワーレコードのバイヤー陣からのリクエストを反映させながらPヴァイン音源を使って、という話が舞い込み、特急進行で完成した一枚。彼らのリクエスト(つまりお客さまのリクエスト、と考えています)は幸いなことに僕も好きなトラックが多く、全21曲中11曲をその中から選ぶことができた。
夏前のリリースに相応しい爽やかなテイストで、という声も多かったので、ケロ・ワンfeat.ベン・ウエストビーチ“WHEN THE SUNSHINE COMES”、ホーカス・ポーカスfeat.オマー“SMILE”といった、この季節に心地よいサニー・ソウル・タッチの爽やかヒット・チューンを選曲のフックとしている。窓を開け放ってカーステレオからラジオを流しているような気持ちのよいイメージで、その両曲の間に並ぶのは、スターヴィング・アーティスツ・クルーの変名×テス・ワンの“FOUR SQUARE”とライドアウト&テリー・コールの“WE GOT TO LIVE TOGETHER”という、シャープなボサ・ヒップホップとピースなフラワー・ヒップホップの究極のキラー・ナンバー(共にかつてこのコーナーでも大プッシュされていましたね)。最近の僕のコンピレイションの中では、かなり陽性な印象を受けるだろう。
トピックとなる先行収録音源は、オープニングを飾るフランスのブレイクビーツ・クリエイター、キラ・ネリスの極めつけにジャジーな“JUDY IN JUNE”(僕はエレガントなワルツ・ブレイク“SCAMPERING”もたびたびDJプレイしていましたが)、新しいアンセムになるに違いないオランダのスキジー・ラップスの“TODAY”(ポーグスがもしラップしたら、みたいな伸びやかな雰囲気です)、そしてカナダからシンク・トゥワイス制作の新曲でボビー・ヘブ“SUNNY”をアダプトしたサマー・ヒップホップの逸品“IT'S ABOUT TIME”。
カナダ勢は「メロウ・ビーツの至宝」と言うべきスペシフィックスの楽曲群からも何を選ぶか嬉しい悲鳴だったが、メランコリックな名曲“WITH J”を大切な2曲目に置き、まさに夏のヴァカンスを思わせる音色に陶然となる、フランスのジャズ・リベレイターズによる天国で奏でられたような至福の楽園サウンド“VACATION”への架け橋とした。
オデッセイ“OUR LIVES ARE SHAPED BY WHAT WE LOVE”を使ったサイン、ナイト・ライターズ“K-JEE”を使ったドラゴン・フライ・エンパイア×モカ・オンリー、コールド・ブラッド“VALDEZ IN THE COUNTRY”を使ったパット・D&レディー・パラドックスなど、フリー・ソウル・ファンならずとも思わず声を上げてしまう場面も何度も訪れるはずだ。確信的なメロウ・サンプルから歯切れよいマイク・リレーまで完璧なスターヴィング・アーティスツ・クルーの絶品“FEED THE HOMELESS”も、もちろんそんな一曲。そしてここからの後半への流れこそ、僕の選曲の真骨頂だと思っていただきたい。
ピート・ロックの名声を決定づけた“THEY REMINISCE OVER YOU”(メアリー・J.ブライジも引用しましたね)へのJ.ロウルズによる素晴らしいオマージュ“A TRIBUTE TO TROY”は、トム・スコット“TODAY”のホーン・リフが哀愁をたたえ鳴り響く。キンドレッド・スピリッツ発ジャネイロ・ジャレルの“LOCK DOWN”は、乾いたビートとサンプリングの妙に病みつきになり、テス・ワン率いるピープル・アンダー・ザ・ステアズの“FLEX OFF”も、やはりクール極まりない。そして「ジャジー・ヒップホップの最高峰」と断言したいドラゴン・フライ・エンパイア“SPEAK TO ME”は、真性ジャズ・マニアにも絶対聴いていただきたい、黒い煙漂う激渋チューン。この辺りの展開は、麻薬的と言っていい魅力と吸引力を持っているはずだ。ジャズ・リベレイターズ〜ホーカス・ポーカスに続く新星と期待されるモアーのフレンチ・メロウ・ジャム“LES MOTS”のヴィブラフォンは、その余韻と火照りを穏やかに鎮めてくれるだろう。今回も収録時間はたっぷり79分59秒、存分に楽しんでください!

CARLOS NINO & MIGUEL ATWOOD-FERGUSON / SUITE FOR MA DUKES 
J. PERIOD / Q-TIP THE[ABSTRACT]BEST VOL.1
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


『MELLOW BEATS, SUNSHINE & TWILIGHT』は当初、カルロス・ニーニョ率いるビルド・アン・アークの素晴らしい新曲“THIS PRAYER FOR THE WHOLE WORLD”を1曲目にエクスクルーシヴ収録させていただき、タイトルも『MELLOW BEATS, PEACE & DREAMS』とできればと考えていたが、残念ながら時間切れで、契約が間に合わず実現しなかった。そこでその代わりに、カルロス・ニーニョの近作として、あまりにも尊い、胸を締めつけられずにいられない一枚を紹介する。僕はこのところ毎晩、眠りにつく前に静かにこの盤に耳を傾けている。
それは、今は亡きJ・ディラの32回目の誕生日を祝うというコンセプトから生まれた『SUITE FOR MA DUKES』。“MA DUKES”とはディラと同じ血栓性血小板減少性紫斑病に苦しむ彼の母親のことで、今年2月に彼女のためにカルロス・ニーニョがプロデュース、ミゲル・アットウッド・ファーガソンの指揮とアレンジによりロサンゼルスで行われ、とても感動的だったというコンサートのCD版。B+によるジャケット写真も物哀しさを誘い、ハープやヴァイオリンやフルートを含む室内楽アンサンブルの組曲に、という趣向も秀逸。目を閉じて聴いていると、ひっそりとした丘に、深い森に、遠い海に、誰に知られることもなく密やかに降り続ける雨のことを思ってしまう。静粛で厳かな鎮魂の調べ。ディラへのレクイエムに相応しい響きだ。
曲目は、ディラがウマー名義で制作したトライブ・コールド・クエストの最終作『THE LOVE MOVEMENT』のリード・シングルだった“FIND A WAY”、カルロス・ニーニョが手がけたドゥワイト・トリブル&ザ・ライフ・フォース・トリオの“ANTIQUITY”(コモン“AQUARIUS”の改作)とディラ在籍時のスラム・ヴィレッジの人気作にして名曲“FALL IN LOVE”という、『JAZZ SUPREME ~ MAIDEN BLUE VOYAGE』に収めたロバート・グラスパー“J DILLALUDE”でも印象的に奏でられた名旋律、そしてソウルクエリアンズとして参加したコモン屈指の名盤『LIKE WATER FOR CHOCOLATE』の“香”を意味する瞑想的な名トラック“NAG CHAMPA”。ディスクガイド「エッセンシャル・メロウ・ビーツ」へのカルロス・ニーニョの寄稿文を初めて目にしたときの感激がよみがえる好セレクトだ。僕は彼のヒップホップ観(そしてジャズ観)に心から共鳴している。これは個人的にビルド・アン・アークのファースト『PEACE WITH EVERY STEP』に匹敵する、思い入れ深い作品になるだろう。数多く出たディラのトリビュート盤の中でも、最も心を打たれる。
最後にもうひとつ、ニューヨークから届いたJ.ピリオドによるQ・ティップへのトリビュート・ミックスCDも現在へヴィー・ローテイションであることを付け加えておこう。何と全48トラック、あの曲もこの曲も入っていて、ヒップホップ文化の黄金時代の記録として、これ以上のモニュメントはないかもしれない、とさえ思う。そしてヒップホップもまた、やがてロックやジャズのように死んでいくのだろうかと考える。
追記:僕もこの機会に、自分なりの思いを込めて、J・ディラを追悼するスペシャルCD-R『MELLOW BEATS TRIBUTE TO J DILLA』を作ってみようと思い立ちました。僕にとって彼の真髄は、どれほど進歩的でも必ず人肌の温もりを宿したビートと、その音楽への飽くなき情熱。彼の名前を胸に刻むきっかけになったファーサイド“RUNNIN'”(スタン・ゲッツ&ルイス・ボンファをループしたボサノヴァとヒップホップの出会いの記念碑)やデ・ラ・ソウル“STAKES IS HIGH”(あのアーマッド・ジャマルの3小説ループの衝撃)はもちろん、ボビー・コールドウェルの引用が耳に残るコモン“THE LIGHT”やステレオラブ使いで話題を呼んだバスタ・ライムス“SHOW ME WHAT YOU GOT”、エリカ・バドゥやルーツ、ビラルにアンプ・フィドラーにスティーヴ・スペイセックまでのプロデュース曲(ソロとスラム・ヴィレッジのファーストやJ-88“THE LOOK OF LOVE”、彼を見出したQ・ティップ&トライブ・コールド・クエストは言うまでもありません)、ブラン・ニュー・ヘヴィーズやジャネットやブラック・スターなどのリミックス曲、さらに彼と激しく共振する他のアーティストの才気に富んだ先鋭的なトラック(エイフェックス・ツインの「THE WAXEN PITH」とかね)まで集めてみようと思っていますので、お楽しみに!

2009年6月上旬

橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


アプレミディ・レコーズ第2弾は、女性ヴォーカルでめぐる世界サマー・ソング紀行、という趣きの一枚。瑞々しさと美しさと切なさ。“輝き”を大切にした選曲方針は変わらない。忘れられない思い出と共によみがえる音楽。新しい物語が生まれるような音楽。音楽は清々しい、と心から感じてもらえるはず。
スティーヴィー・ワンダーの“BIRD OF BEAUTY”“SUMMER SOFT”、アメリカの“VENTURA HIGHWAY”、バート・バカラックの“CLOSE TO YOU”、トニーニョ・オルタの“AQUI O”、クリストファー・クロスの“SAILING”、ロバータ・フラック/マリーナ・ショウの“FEEL LIKE MAKING LOVE”といった人気曲の素晴らしいカヴァー・ヴァージョンを、今回も数多く収録している。前作同様、穏やかな叙情的な幕開きから、ゆっくりと幸福に向かって心が動き出すように色彩感とリズム感を増していくオープニングにもこだわった。パトリシア・バーバー“EARLY AUTUMN”〜バーバラ・ライモンディ“SHAKER SONG”〜セシリー・ノービー“GENTLE ON MY MIND”〜ヘレン・サッシュ&レックス・ジャスパー“SOON IT'S GONNA RAIN”(クープ“SUMMER SUN”ネタ!)という展開で沸き上がる多幸感の広がりには、これ以上の至福はない、とさえ思う。前作の冒頭3曲の胸躍る感じを思い出す方も多いだろう。
ミナスの風を感じさせる、情景が浮かぶような曲が多いのも今作の特徴だろうか。トニーニョ・オルタのカヴァーとトム・レリス&トニーニョの共演の連なり、そして、この春のアプレミディ・グラン・クリュでの生演奏がかけがえのない思い出になったヘナート・モタ&パトリシア・ロバートに参加してもらえたことも、僕にとってはちょっとしたメモワールだ。
このテイストでこれより素晴らしいコンピレイションは作れるわけがない、とさえ思った前作を作り終えて改めて感じた、少しでも多くの人たちに聴いてもらいたいという気持ちも、今回のセレクションに反映されているだろう。アコースティックでメロディアスな音楽性はそのままに、フリー・ソウル〜クラブ・ジャズ〜クロスオーヴァーといったクラブ系リスナーにも親しみやすいグルーヴ感やスウィング感に富んだアーティストが顔を揃えている。ロマン・アンドレン/クララ・ヒル×マーク・マック/エイドリアナ・エヴァンス/ホセ・パディーヤ……どれも正真正銘の名曲ばかりだ。
とりわけバー・サンバ“SO TIRED OF WAITING”の黄昏アコースティック・チルアウト・ミックスは絶品中の絶品で、ここからのエンディングへの流れは特に気に入っている。夕暮れ感と夏の終わり感。新しい季節を迎えた嬉しさを表現した爽やかな前半に対し、後半へ進むにつれて過ぎゆく季節を惜しむような感傷的な風景を映し出せればと考えた。それは旅の始まりの高揚する気分と、楽しかった旅が終わりにさしかかるときの言葉にできない感情、と言い換えてもいいだろう。チェット・ベイカーの残像がよぎるラストのホドリゴ・ホドリゲス“MOONLIGHT IN VERMONT”には、すべてが過ぎ去った後の、優しい寂寥感のようなものを託した。
ジャケット・デザインの美しい日本の伝統色は、『春から夏へ』の“萌黄”に代わり“露草”に、季節の星座は“コップ座”から“こと座”になった。図柄の中央には天の川が流れている。空高く住んでいる僕は、星降る夏の夜、ひどく天の川に惹かれてしまうのだ。織姫と彦星。ロミオとジュリエット。スタークロスト・ラヴァーズ。
最後に、僕としては大自信作だった前作について書かれた文章で、いちばん胸を疼かされたフレーズをここに引用する。それは(案の上、と言うべきか)アプレミディ・セレソン武田によって書かれたものだった。
世界のいろいろな場所では、まだまだ知らない素晴らしい音楽が存在し、日々新しい歌が生まれ続けている。「usen for Cafe Apres-midi」のチャンネルに耳を傾ければ、今日もまた、そんな知らない世界の街のどこかで、誰かが古いレコードの中の美しい曲に心ときめかせ、誰かが素敵なメロディーやハーモニーを紡ぎだしているんだと想像が膨らみ、なんだかとても幸せな気分に包まれます。
届いたばかりの新しいコンピレイションを聴きながら、僕も今、全く同じようなことを考えていました。それともうひとつ、友人の吉本宏が教えてくれた、神戸ディスク・デシネ(祝ジョルジオ・トゥマ日本盤化!)の橋田純さんのブログにとても感激し、勇気づけられたことも付け加えておきます。普段は独りレコードを聴く毎日の僕ですが、久々に音楽の素晴らしさを分かち合う歓びを感じることができて、フリー・ソウルやカフェ・アプレミディのコンピを始めた頃の軽やかな風に吹かれたような気がしました。どうもありがとう。今回も、パトリシア・バーバー“EARLY AUTUMN”やセシリー・ノービー“GENTLE ON MY MIND”なんか、きっと気に入ってもらえるんじゃないかな。大事なものと大事じゃないものが少しずつ見えてくるような(by 西寺郷太)、そんな気がする今日この頃です。
※HMVのウェブサイトには、橋本徹による『音楽のある風景〜夏から秋へ〜』と『音楽のある風景〜春から夏へ〜』の全曲解説とアプレミディ・レコーズについてのインタヴューが掲載されています。ぜひご覧ください!

FINK / SORT OF REVOLUTION
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


個人的には今年上半期のNo.1アルバムかもしれない傑作。とても地味な一枚なので、誰にでもお薦めするというわけではないが、独り暮らしの男には強く推薦する。前回紹介したカルロス・ニーニョ&ミゲル・アットウッド・ファーガソンと共に、このところ最もよく聴いているCDで、人生に疲れたとき飲みたくなる一杯の酒のように、じんわりと沁みてくる。
それは夢遊病者の点描画のような、憂いを帯びた黙示録のような音楽だ。心の奥底で琴線に触れるブルースとメランコリー。つぶやくような歌と印象的な言葉、淡々としたギターはモノローグのようであり、未来のロード・ムーヴィーの音楽のようであり、華やかな経歴を持つ男が独り静かに人生の機微を見つめているような佇まいで響く。
そう、フィンクという男の歩みを振り返るとき、そこに真摯なミュージシャンシップ、というようなものを強く感じずにはいられない。マーティン・テイラーやエイミー・ワインハウスのプロデュース、坂本龍一やニティン・ソーニーのリミックスなどで、最先端のエレクトロニクスを駆使したサウンド・クリエイターとしてこれ以上ない名声を博した彼が、ニンジャ・チューンから突然アコースティック・ギター1本を抱えて再出発して今作で3枚目。つくづく「信用できる」アーティストだな、と感じる。
一聴してホセ・ゴンザレス(やミア・ドイ・トッド)、あるいはボブ・ディランからベン・ワットまでを思い浮かべる方もいるかもしれないが、研ぎ澄まされたリズム・センスによるダビーな音像と立体的で乾いたビートが醸し出すブルージーでメランコリックなアンビエンスは、他の誰でもないフィンクならではだ。1曲目のタイトル・チューンから言葉を失くすほど素晴らしい。儚い浮遊感、叙情的でありながらセンティメントに流されない凛とした強さが胸を打つ。続く“MOVE ON ME”はジョン・レジェンドが奏でる美しいピアノが夢幻の響きのように波紋を広げ、静かに心の扉をノックするように曲は終わる。“NOTHING IS EVER FINISHED”はエレクトロニカ世代のディランのようであり、“SEE IT ALL”は骨太なヴィニ・ライリー(ドゥルッティ・コラム)のようであり、ディアンジェロにインスパイアされたという“Q & A”はクールなハンドクラップと神秘的なピアノに音霊が宿る。パーカッシヴなギターに始まる“IF I HAD A MILLION”はやはりホセ・ゴンザレスを彷佛とさせ、一刻も早く彼のライヴ・ステージを間近で観てみたいという気持ちを募らせる。ラストは70年代のジェフ・バリーの名曲“WALKIN' IN THE SUN”の潔いようなカヴァー。ディアンジェロからトミー・ゲレロまでを愛する貴方なら、惹きつけられないはずはない。
ダビーなフォーク・ソングやメランコリックなダウンテンポのブルース。夢と現実の境界線で鳴るようなこうした音楽を、朝までぐっすり眠れることのない僕は、夜中にふと目を覚まして、もう一度眠りにつこうというときに、必ず聴く。夢のつづきを見るように。
もう少し外が明るくなりかけている時間なら、今はテリー・キャリアーの新作の4曲目“THE HOOD I LEFT BEHIND”に耳を傾ける。故郷シカゴへの思いを歌った真に感動的な名唱だが、歌詞にも綴られたカーティス・メイフィールドのことはもちろん、最近はどうしてもケニー・ランキンの姿がフラッシュバックする。音楽を聴いて涙が零れそうになるのはこういうときだ。
追記:目を覚まして午前8時をすぎているときには、ダイアン・バーチの“NOTHING BUT A MIRACLE”という曲をよく聴いています。久しぶりに気に入っている新人の女性シンガー・ソングライター。窓の外には小学生の声が聞こえる。そろそろ起きなきゃ、新しい一日が始まるのだから。そんな気分に相応しいデビュー・アルバムです。

2009年6月下旬

TUTU PUOANE / SONG
SATHIMA BEA BENJAMIN / DEDICATIONS
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


最高に洒落た、そしてたおやかに心に染み込むジャズ・ヴォーカル。オープニングのボブ・ドロウのカヴァーから一気に引き込まれました。彼女はサティマ・ビー・ベンジャミンの再来か。あるいはノーマ・ウィンストンやジョニ・ミッチェルをまろやかにした感じ? 歌声、楽曲、演奏アレンジ、そのすべてに感激です!
というのが、このトゥトゥ・プワネのファースト・アルバム『SONG』の日本盤CD化にあたり、僕が寄せたステッカー・コメント。初めて聴いたときの素直な感想をそのままシンプルに綴ったものだが、それから何度となく繰り返し聴いた今も、その好印象は変わらぬばかりか強まる一方だ。「usen for Cafe Apres-midi」でも超ヘヴィー・ローテイションしている。
南アフリカ出身で現在はベルギーのアントワープを拠点にブリュッセル・ジャズ・オーケストラでも活躍しているトゥトゥ・プワネは、マーク・マーフィーやジョージィ・フェイム、ロイ・ハーグローヴらとも共演経験があり、ビリー・ホリデイやサラ・ヴォーンを愛する黒い肌の女性ジャズ・シンガー。ただしライナーで渡辺亨氏も指摘しているように、濃密な歌声やブルージーなフィーリングで魅了するタイプではなく、そのヴォーカルは軽やかで、爽やかで、可憐さを宿し、ニナ・シモンやディー・ディー・ブリッジウォーターと同じスピリットを持ちながら、その味わいは端麗な日本酒のよう、とも表現できる(蛇足ながら付け加えると、先頃のジョー・バルビエリしかり、僕が推薦文を書き、渡辺さんがライナーを寄稿しているCDは、どれも内容を信用してもらって構わない)。
個人的には聴き込むにつれて、一聴して心弾ませ、たびたびDJプレイしてきたスウィンギーなボブ・ドロウのカヴァー“JUST ABOUT EVERYTHING”以上に、やはり「たおやか」と形容したい歌とピアノに魅せられる2曲のスタンダード・ナンバー“THAT'S ALL”と“YOU ARE MY SUNSHINE”の輝きが増している。そして南アフリカの情景が浮かぶリズムとコーラスが素晴らしい“MANGO PICKER”も。いずれも同郷のサティマ・ビー・ベンジャミンのメロウ&スピリチュアルな名作“MUSIC”や“AFRICA”を僕には彷佛とさせる(サティマはダラー・ブランドの妻だが、トゥトゥの夫もこのアルバムを確かな腕とセンスで支えている名ジャズ・ピアニストだ)。トゥトゥがフェイヴァリット・アーティストのひとりに挙げている、同じく南アフリカ出身で“WHAT'S WRONG WITH GROOVIN'”が人気のレッタ・ムブールの名を引き合いに出したくなる方もいるだろう。
また、どことなくフェアリーかつクールな雰囲気が漂う英国ジャズの妖精ノーマ・ウィンストンが歌詞をつけた表題曲や、敬愛するジョニ・ミッチェルの名盤『BLUE』からの“A CASE OF YOU”も、しなやかな思慮深さがうかがえる彼女らしいレパートリーだ。メロディー・ガルドーの最良の瞬間にも優るようなフォーキー&ジャジーなバラード“FOR THE TIME BEING”では、ベルギーを代表するトランぺッター、ベルト・ヨリスの滋味深いプレイも聴き逃せない。日本盤ボーナス・トラックとして収録されたライヴ録音2曲も、彼女のさりげない個性を過不足なくフレッシュに伝えてくれて嬉しい。とにかく声が好きで曲が良くて演奏アレンジが適切、という僕には女性ジャズ・ヴォーカルの鏡のような大推薦盤。僕にとっての一生の愛聴盤、サティマ・ビー・ベンジャミンの『DEDICATIONS』と一緒にぜひどうぞ。

MEANDERTHALS / DESIRE LINES
V.A. / CAFE APRES-MIDI FILE ~ EVERLASTING SUMMERDAYS, ENDLESS SUMMERNIGHTS
THE LAST ELECTRO-ACOUSTIC SPACE JAZZ & PERCUSSION ENSEMBLE / SUMMER SUITE
橋本徹 (SUBURBIA/アプレミディ) 推薦


セカンド・サマー・オブ・ラヴから20年、この夏の暑さを和らげてくれそうなチルアウト盤三題。DJハーヴィーと並ぶ90年代以降のUKニュー・ハウスの立役者イジャット・ボーイズと、リンドストロームとの共作やホセ・ゴンザレスのリミックスなどでも知られるノルウェイ・ディスコの要人リューネ・リンドバークによるバンド・ユニット、メンダーサルズの話題の一枚『DESIRE LINES』は、ジャケットの印象そのままの爽やかな透明感に貫かれた、コズミック&サイケデリックな意匠とダビーなトリートメントが施されたアンビエント・ダウンテンポ集。クワイエット・ヴィレッジやマップ・オブ・アフリカへの回答とも評される、生演奏のエディットやエフェクト処理の美しさ、ヨーロッパ的なバレアリック感覚は言うまでもないが、特筆すべきはその「ネオアコ的」と言ってもいい清涼なセンス。夢の国へのドライヴのような楽園トラック“KUNST OR ARS”による幕開きから、アコースティック・ギターやスティール・パンの音色が遠い夏の思い出のように輝く。
続くタイトル・チューンは、往時のドゥルッティ・コラムを思わせる儚く繊細なギターの美しい旋律に、心地よくパーカッションが絡んでいく。コラボレイションのきっかけになったという彼ららしいネイミングの“ANDROMEDA (PRELUDE TO THE FUTURE)”は、DJでかけるならこれかな、という感じのタイトで幻想的な一曲だが、クラブ・プレイということを抜きにすれば、スティール・パンのイントロに始まる次の“1-800-288-SLAM”が個人的にはベスト・トラックか。白昼夢のようなレイドバック・ダブ・トリップ、柔らかな光のシャワーと音の波、そんなイメージ。ラヴェルやサティを思わせるピアノが古い映画の中のオルゴールのように琴線に触れてくる“BUGGES ROOM”は、夕暮れどきや朝方に聴いていると涙が出そうになる。
メンダーサルズを聴いていると、自然に手が伸びてしまうCDが、昨年選曲させていただいたファイルレコード20周年記念コンピレイション『CAFE APRES-MIDI FILE ~ EVERLASTING SUMMERDAYS, ENDLESS SUMMERNIGHTS』だ。去年の夏は掛け値なしに100回以上はリピートしたが、今年は何度聴くことになるのだろう。日本が世界に誇れる永久保存級の名作ばかりを収めているが、chari chariやナチュラル・カラミティはもちろん、藤原ヒロシ+川辺ヒロシやサイレント・ポエツのチルアウト・メロウなナンバーは、メンダーサルズの音楽とある種の恍惚を伴って共振するものだ。
そしてもう一枚、マッドリブの生演奏プロジェクト、“ザ・ラスト・エレクトロ・アコースティック・スペース・ジャズ&パーカッション・アンサンブル”名義による、その名も『SUMMER SUITE』。本来はイエスタデイズ・ニュー・クインテットの2007年作『YESTERDAYS UNIVERSE』(傑作!)リリース時にファンクラブ向けに作られたもので、このたびめでたく再プレス。リューネ・リンドバークの「このアルバムは何というかカリフォルニア的な、太平洋岸を走るハイウェイのようなものであるべきだ」という発言にもかかわらず、ヨーロッパならではの美意識が香るメンダーサルズに対し、こちらは正真正銘アメリカ西海岸の風を感じさせる、トミー・ゲレロの新譜に先駆けたようなアコースティック&パーカッシヴな40分の夏組曲。ヴァイブやフルートをフィーチャーしたヒップで涼しげなチルアウト・アンサンブル。ジャズとソウルとラテンとブラジリアンと。とりわけフリー・ソウル・ファンにはダニー・ハサウェイ/コールド・ブラッドでお馴染み“VARDEZ IN THE COUNTRY”のエキゾティックな演奏は出色で、“SUMMER MADNESS”なメロウ・エンディングまで、マッドリブは何をやってもマッドリブだなあ、とそのクールな冴えっぷりに改めて感心。彼がやはりシャープな感性と知性の持ち主であることを実感しています。
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